てつさらです。

『21世紀の資本』で話題のトマ・ピケティですが、NHK・Eテレで、毎週金曜の23:00から、同氏による「白熱教室」が放送されていますね。

過去2回の放送を見て感じたのですが……。

ピケティは、オノレ・ド・バルザックや、ジェーン・オースティンといった過去の小説家の作品から、研究のインスピレーションを多く得ているようでした。(例えば、何故、バルザックの小説では、「医者になって働くより、金持ちのお嬢さんと結婚する方がいい」、といったセリフが出てくるのか、といった……)

また、ピケティは、経済学者は比較的経済的に裕福な人が多いだろうから、そういう経済者たちが社会を見る目には社会階級的な歪みが生じるのではないか、というようなことも言っていました。確かに、経済学者として大学で教えるようになるには、長い研究期間と、それを支えられるだけの経済的基盤が必要でしょう。

上記のようなピケティの研究には、どういう背景があるのでしょうか。

ウィキペディアを見ると、彼の両親は、労働運動の闘士として活躍していたそうです。その影響で、社会の格差の問題に関心を寄せるようになったのでしょうね。

また、フランスでは、バカロレアなどの受験において、ピケティのような理数系の学生でも、哲学のような人文科学の豊かな素養が必要とされています。

ピケティの豊かな研究の背後には、このように、文学や哲学への関心、そして社会に対する深い疑問などがあると言っていいと思います。

現在、日本の文部科学省は、大学の文化系学部をつぶし、専門学校化しようという改革を進めているようです。

また、先日の投稿で書きましたが、バカな経営コンサルタントが、日本の大学を、グローバルなエリートを育成する「G型大学」と、職業訓練を実施して地域の労働者を育成する「L型大学」に改編すべきだと主張しているようです。

しかし、ピケティの学問の背景を見てわかるように、そのような改革は、彼のような優秀な研究者を生み出す土壌を破壊してしまう気がしてならないのです。

以上、てつさらがさらっと書きました。

p.s.
先日の第2回ですが、同時間の裏番組のフジテレビで「上級階級~富久丸百貨店外商部~」というドラマをやっていました(放送時間が少し被っていました)。デパートの個人向けの外商部は、上流階級のお客さんを相手にする部署です。ピケティの番組と同時刻に、そういうドラマを放送していたのは、皮肉と言うかなんと言うか……。しかも、主演の竹内結子が、「300円のケーキを売るのも、300万円の宝石も同じ」みたいなセリフを言っていましたが……、ピケティに言わせれば、そんなことは絶対ないですよね。