■ビートたけしの心温まるエピソード

てつさらです。

(私の記憶が間違っているかもしれませんが…)これはたしか、ビートたけしのエッセイか何かで紹介されていた話です。

ずっと下積み生活を送っていたビートたけしは、漫才ブームでようやくブレイクし、大金を稼ぐようになります。そんな彼に、お母さんは、何だかんだと理由をつけ、事あるごとに小遣いをせびります。たけしは仕方なくお金を渡します。

しかしある日、彼は、お母さんが彼名義の預金通帳を作っているのを知ります。そこには、彼からせびり取ったお金が一円残らず貯金されていたのです。芸人という不安定な職業を心配して、売れなくなっても困らないように、貯金をしてくれていたのです。

これ、すごくいい話ですね。

TakesiKitano

 

■後に起こった出来事が、前に起こったことを事後的に規定する

このエピソードから私が教訓として汲み取りたいのは、たけしのお母さんの素晴らしい母親としての愛だけではありません。

私がさらに興味を惹かれるのは、この話の「どんでん返し」的な側面です。

たけしが通帳の存在を知る瞬間、どんでん返しが起こります。

その前までは、たけしのお母さんは強欲な人です。もし何らかの事情で、通帳の存在が誰にも知られないままで終わったとしたら、お母さんはいつまでも守銭奴として見られていたことでしょう。しかし、どんでん返しの瞬間、世界が反転し、母親は慈悲深い人物として生まれ変わるのです。

つまり、時間軸上の後で起こった出来事が、まるで時間を遡るように、その前にあったことに影響を与えうるということ。何事も、その時点の状況だけで判断し尽くされるべきではないということです。

 

■『明日、ママがいない』も、どんでん返し?

話は変わりますが…、日テレのドラマ『明日、ママがいない』が、児童養護施設の団体などから批判され、スポンサー8社全てがCMを見合わせてしまったそうです。さらに同局は、その内容の変更も検討しているとのこと。

(私は、このドラマは見ていないので、以下、的外れな意見かもしれませんが…。)

ただ、ドラマの全体を見ずして、途中段階で批判をすることに、かなり疑問を感じています(このドラマはフィクションなので、なおさら…)。もしかしたら、今後、「どんでん返し」的な展開が待っているのかもしれないというのに…。

それは、上述のエピソードで、預金通帳を見る前にたけしのお母さんを強欲だと一方的に批判することに等しいのではないか…。

事実、日テレの大久保社長は、会見で「『配慮が足りないのではないか』という趣旨の申し入れをいただき、重く受け止めている」と述べる一方、「最後まで見てもらえれば私たちの意図を理解していただける」という風に述べています。

でも結局、嵐のような批判の声に押され、「内容の変更も検討している」という事態になってしまいました。今後、「どんでん返し」的な要素が弱められてしまう可能性もあります。そうなると、極めて皮肉なことですが、このドラマへの一方的な批判が正当化されることにもなりかねません。

とても残念なことですが…。

以上、てつさらが、さらっと書きました。