てつさらです。
以前のブログでも紹介した事のある「週刊本『卒業 KYON2に向かって』」を購入しました。かなり安く購入できたのでラッキーでした。
奥付を見ると1985年4月1日の発行となっていますから、もう30年以上も前の本なんですね。
野々村文宏、中森明夫、田口賢治という3人の若い(当時)評論家が、コンピュータゲームやファッション雑誌のモデル、アイドルなどについて論じ合っている鼎談をまとめたもので、当時朝日出版社から「週間本」としてシリーズで出ていたものの一冊です。
1980年年代前半というと、いわゆるニューアカデミズムブームがあった頃で、この本も、その影響を受けて、浅田彰や中沢新一、ドゥルーズ、デリダといったいわゆるポストモダン思想の強い影響下にあります。
たとえばこの本の冒頭の田口賢治氏の文章……
もう1年以上も前の話だがゆらぎを孕んだアンタンシテが超高速旋回しながらキラー通りをかっとばしてたのを見たことがある。
この短い文章でもわかる通り、ニューアカのボキャブラリが全編にわたって横溢しているのです。
私は以前この本を所有していたのですが、いつの間にか紛失してしまい、今回かなり久しぶりにこの本を通して読むことができました。でも内容は結構覚えていたなぁ。
この本には当時活躍していたファッションモデルやアイドルたちがたくさん出てきます。今でも活躍している人や、もう表舞台から完全に消えてしまった人など、いろいろです。今はネットでその消息をかなり追跡することができるのですが、最も驚いたのがこの本で紹介されていた栗尾美恵子という当時10代だったファッションモデル。
そう、彼女は後に横綱・若乃花と結婚する花田美恵子さんです。(同一人物だったということは知りませんでした)
それからアイドルの部門で、3人に一番評価されているのが松本伊代と小泉今日子の2人。この2人はいまでもテレビで活躍していますね。
伊代ちゃんがヘーゲルの『精神現象学』にサインした写真が載っているのですが、そこには「ヘーゲル大好き」と書かれています。今でも芸能界に生き残っている松本伊代という人は、もしかしたら本当に稀有な存在なのかもしれません。
この本についてはまだまだ語るべきことが残っているような気がします。また機会があったら論じたいと思います。
以上、てつさらがさらっと書きました。