てつさらです。

前回の記事で、「待庵」という茶室の持つ、特異な内と外との関係について述べました。

待庵では、外に捨て去ったものが、内部に存在するとされます。これは明らかに論理矛盾です。

この矛盾をどう考えたらいいのでしょうか。

一つの解釈の可能性として、内と外とを逆転させる、ということが考えられます。

その解釈のヒントになるのが、赤瀬川原平氏の『宇宙の缶詰(蟹缶)』という作品です。

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(画像はこのサイトより)

写真を見てわかるように、食べ終わった蟹缶のラベルを剥がし、それを内側に貼り直した後、蓋を閉じてハンダ付けする……そういう作品です。(写真は、それを再び開けた状態ですね)

この作品では、缶詰の内側と外側が逆転しています。缶詰の外側は通常私たちが内側と思う空間であり、内側はそれ以外の宇宙全体なのです。

この逆転を、待庵に応用すれば……、待庵の中の三畳ほどの空間は実は室の外側であり、待庵を包み込む宇宙全体が実は室内だ、というわけです。

これはかなり魅力的な解釈ですね。

ただ、この解釈では、まだ同じ空間の内側と外側という、二分法的な思考にとらわれているとも言えます。

別の解釈の可能性については、別の機会に譲りたいと思います。

以上、てつさらがさらっと書きました。